サラリーマンの皆さんも、医療費控除やふるさと納税を行う場合などには、ご自分の所得を計算する機会があると思います。給与所得を計算する上で忘れてはならないのが、給与所得控除です。
そもそも給与所得とは、給料の手取り金額のことではありません。
給与所得とは、税金や健康保険を天引きする前の給与収入(給与総額)から、一定の金額を差し引いた残りを給与所得と言います。このとき、給与収入から差し引く一定の金額を、給与所得控除と言います。
給与所得の計算方法を式で表現すれば、以下のようになります。
給与収入-給与所得控除=給与所得
この式を確認して頂くと、給与所得の計算過程において、給与が支払われるときに天引きされた税金や健康保険というものは一切登場してこないということがわかります。では、給与収入から差し引く給与所得控除とは、具体的には何でしょうか?給与所得控除とは、所得税法に規定され、給与収入の大きさに応じて、その金額も変化して行く控除になります。2019年7月現在において、その計算方法は以下のとおりです。
給与等の収入金額:給与所得控除額
1,800,000円以下:収入金額×40%(650,000円以下は650,000円)
3,600,000円以下:収入金額×30%+180,000円
6,600,000円以下:収入金額×20%+540,000円
10,000,000円以下:収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 :2,200,000円(上限)
例えば、給与収入(給与総額)が4,000,000円の場合は、
4,000,000円×20%+540,000円=1,340,000
となります。
そして、給与所得控除が1,340,000円ですから、給与所得は
4,000,000円-1,340,000円=2,660,000円
となります。
400万円の給与収入が、266万円の給与所得になるわけですから、給与所得控除はサラリーマンの皆さんにとって、比較的影響力のある控除制度です。サラリーマンの皆さんがご自分の所得計算を行う場合には、給与所得控除を忘れずに差し引いてから、医療費控除の計算やふるさと納税の計算などを行うようにして下さい。
なお近年、給与所得控除は比較的頻繁に改正が行われています。実際に給与所得控除の計算を行う場合は、最新の税制をよく確認するようにして下さい。