役員報酬には定期同額給与、事前確定届出給与又は業績連動給与の三種類があります。このうち、事前確定届出給与は役員報酬の支払前に、支払金額を税務署へ届け出なくてはなりません。また、業績連動給与とは、売上高と役員報酬の明確な対応関係を決定し、公表することが必要です。比較的自由度の高いと表現すべきか、面倒が少ないと表現すべきか、都度的なニーズに対して都合の良い役員報酬が定期同額給与ということになります。
今回は、この定期同額給与についてまとめたいと思います。
定期同額給与とは、その名のとおり、毎月同じ金額である必要があります。そのため、いつでも簡単に役員報酬の改定(金額変更)を行えるというものではありません。では定期同額給与の改定が認められるのはどのような場合でしょうか。国税庁のWebで確認します。
「イ その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(確定申告書の提出期限の特例に係る税務署長の指定を受けた場合にはその指定に係る月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)まで(継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定で、その改訂が3月経過日等後にされることについて特別の事情があると認められる場合にはその改訂の時期まで)にされる定期給与の額の改定
ロ その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以下「臨時改定事由」といいます。)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定(イに掲げる改定を除きます。)
ハ その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以下「業績悪化改定事由」といいます。)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られ、イ及びロに掲げる改定を除きます。)」
出所:国税庁Web「タックスアンサー No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」
これをまとめると、イ:期首から3ヶ月以内・ロ:役員人事異動・ハ:急な業績悪化による役員報酬減額、この3つの場合にしか改定を行うことはできないということです。役員の人事異動や、急な業績悪化というものはそれほど頻繁には起こらないでしょうから、実際には期首から3ヶ月以内の改定となることが通常です。結論として、役員報酬は「いつでも社長の好きなように変更できる」わけではないということになります。
通常に役員報酬を変更するという場合の、期首から3ヶ月という期間は、前期の決算確定の時期です。したがって、役員報酬を変更できるのは、一年間の内の決算確定時期だけだということも、併せて覚えておくと良いと思います。