噂の出所は、自民党が作成している税制改正大綱にそのような方針の記載があるということです。
一般的な税制改正のパターンというのは、
1.与党の税制改正議論から、与党の税制改正大綱という冊子にまとめられる。
2.政府の閣議決定で、政府の税制改正大綱という冊子にまとめられる。
3.必要な法整備が行われる。
という流れで改正されます。
今回の贈与税の暦年課税制度については、この第一段階である「1.自民党の税制改正大綱」において、言及がありました。言及があったという微妙な表現となったのは、具体的にいつ・どうするという内容ではなかったためです。基本方針としてそのような方向性を持っているという内容でした。
それでは記載内容を確認して見ましょう。
相続税と贈与税をより一体的にとらえて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。
出所:自由民主党(2021)『令和4年度税制改正大綱』p.11
相続時精算課税制度というのは、暦年課税制度と二者択一の制度のことで、親から子へ贈与を行うための制度の一つなのですが、ここでは深く考える必要はありません。
今後の方向性として、暦年課税制度は見直すということが明記されています。
暦年課税制度は、年間非課税枠110万円(贈与税の基礎控除)という簡単でわかりやすい節税策だったので、無くなるのは残念です。
しかしまだ改正自体は行われていませんので、2022年中の贈与については、引き続き、暦年課税制度の年間非課税枠110万円です。
今後の改正動向を注視して行きましょう。