それでは、続きを書いて行きます。
この期中現金主義は、年度末に売上高・仕入高が多めに計上されることになります。これ自体は、毎年同じことですから、大きな問題では無かったのです。しかし、持続化給付金や事業復活支援金などのコロナ関連の給付金を申請する場合は、少し問題を生じます。
通常の取引であれば、支払条件(発生主義~現金主義までのタイムラグのこと)は月末締-翌月末払とか、月末締-翌々月末払とか、それらの変則形となっていることが多いと思います。
すると、期中現金主義では、年度末に2ヶ月分~3ヶ月分の売上・仕入が記録されることになります。反対に、年度初めの1ヶ月間~2ヶ月間は売上・仕入の記録がされないことになります。
そして、多くの給付金で、対象月の売上高の変化率を申請基準にしていました。したがって、通常の帳簿書類では、年度末を対象月とする場合は、数ヶ月の平均的な変動が必要になります。反対に、年度初めを対象月とした場合は、給付金がもらえません。
これを防ぐために、年間平均を使用して申請基準判定をする方法などもあったわけですが、それはそれで季節性のある業種には不都合です。
当事務所では、年間平均基準の使用や、全月発生主義による帳簿作成などで対応しましたが、やはり例年とは作成方法の違う帳簿になってしまったりという弊害は残ることとなりました。
この期中現金主義という方法で記帳を行っている、行わざるを得ない事業者は、結構多いのではないでしょうか。
もっと言えば、実務上はわりと一般的だが、給付金関係の管理運営サイドからは特殊と判断されているのが、期中現金主義の実態だろうと思います。今後の給付金動向はよくわかりませんが、期中現金主義についても、もう少し考慮した申請基準の策定をお願いしたいと思いました。