あんしん税務会計

栁下真英税理士事務所

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2022年07月22日

期中現金主義について①

今回と次回の2回に分けて、期中現金主義と給付金について、少し思うところをまとめたいと思います。

現金主義とは、帳簿を作る方法の一つです。
現金・預金が増減したときに、売上・仕入を記録する方法です。

これに対して、発生主義というものがあります。
発生主義も、帳簿を作る方法の一つです。
報酬受取や費用支払の債権債務が生じたときに、売上・仕入を記録する方法です。
※なお、便宜的に発生主義に実現主義を含めて話を進めます。

帳簿作成は、発生主義を原則としており、税務署も発生主義を前提として納税者を見ています。

そして、実務上は、現金主義は通帳で確認できることが多いのに対して、発生主義は請求書の管理がしっかりしていないと確認が難しくなってしまいます。
そのため、原則的には発生主義で帳簿作成すべきところではありながら、現金主義で帳簿作成した方が確実な帳簿作成ができる状況になっているわけです。

ところが、多くの場合、申告は1年単位で行いますので、年単位で見ると発生主義で記録しても現金主義で記録しても、売上高・仕入高ともに変わらないものがほとんどです。ただし、年度の変わり目だけは、発生主義で考えれば(n)年度の売上高・仕入高に含まれるが、現金主義で考えれば(n+1)年度の売上高・仕入高に含まれるものが存在します。

いわゆる、売ったけどまだお金をもらっていない、買ったけどまだお金を払っていない取引です。

色々な論点を総合し、現金主義か発生主義かによって売上高・仕入高が変化してしまう、年度の変わり目だけ発生主義で正しく記録しましょう。それ以外の時期は、現金主義でも発生主義でも売上高・仕入高は変わらないので、確認が容易な現金主義で記録しましょう。というのが期中現金主義です。要するに、年度の中盤は現金主義にするという意味です。

期中現金主義の概略が終わったところで、今回はここまで。次回は、給付金との関係のお話をしたいと思います。
【関連する記事】
posted by yagishita-tax at 15:10| 会計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月13日

実地棚卸

皆さんは、棚卸資産の数量について、正しく把握していますか?
今回は実地棚卸の重要性についてご説明致します。

棚卸資産の数量と言っても、中古車販売業の在庫中古車と、飲食店の在庫食品では、数え易さや、数量の重要性が全く違います。
自動車という在庫品は、数え易いですし、1台1台の自動車がそれぞれ重要なものだと思います。これに対して、食品という在庫品は、個数で数えるのは正確にはならず、重さで数えるのは難しく、賞味期限の問題もあり、1個1個の食品の重要性は低いということになります。

事業者さんは、それぞれにとって数え易さと重要度に応じた在庫管理をされていると思います。
常に一定の方法で在庫管理がされていれば、ある程度は問題無く会計処理できるというのは間違いありません。
そしてそれは、実地棚卸でなくとも、帳簿棚卸という計算上の在庫管理でも、ある程度は問題無く会計処理できます。

しかし、例えば正確な棚卸資産の把握ができなければ、期中の利益計算も不正確にしかできません。また、消費税の棚卸資産の調整を行う場合には、正確な在庫リストが無ければできませんので、税務申告上の問題を生じることもあります。

そうは言ってもなお、限られた時間の中で、完璧な経理処理・在庫管理を行うのは、やはりとても難しいことです。
そこで当事務所としては、細かい収支・利益状況が必要な場合や、銀行融資の申し込みや、事業計画によって、ポイント押さえた実地棚卸を行っておくことをお勧めしています。
実地棚卸は、何度か行っていれば、次第に正確迅速に行うことが出来るようになります。
そうすれば、将来的な会計資料作成も楽になって行くという利点もあるだろうと思います。

常に帳簿棚卸だけを行っている事業者の皆さんも、たまには実地棚卸を行って、正確な会計で事業を振り返って見ると良いと思います。


posted by yagishita-tax at 15:22| 会計 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月06日

教育資金贈与の非課税 改正

以前、このブログでも紹介しました「教育資金贈与の非課税」ですが、現在は当時から改正が行われていますので、再び記事にしたいと思います。

なお、前回の記事はこちら
http://yagishita-tax.seesaa.net/article/462460093.html

先ず、この制度の適用を受けるための基本ですが、
1.銀行に教育資金贈与非課税口座を開設する
2.2023年3月31日までに一括贈与する資金を入金し、銀行に教育資金非課税申告書を提出する
3.教育資金を支払ったら、その領収書を銀行へ提出する

これにより、直系尊属から直系卑属へ、非課税で教育資金の一括贈与を行うことが出来ます。


■教育資金の定義
教育資金とは学校等(高校や大学など)と学校等以外(学習塾や水泳教室など)への支払が該当します。
ただし、受贈者が23歳以上の場合は、学校等と教育訓練(教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練の受講費用)のみが該当します。

■一括贈与の上限金額
非課税で一括贈与できる教育資金の上限は1,500万円までです。ただし、教育資金とすることができる学校等以外への支払は、500万円までです。

■受贈者の所得制限
一括贈与の設定時に、前年の合計所得が1,000万円以下である必要があります。

■贈与者死亡時の対応
贈与者死亡時に、受贈者が23歳未満、学校等に在学中、教育訓練受講中である場合は、相続税の課税対象とはなりません。
そうではない場合、相続税が課税されることになります。そしてその場合の相続税額は、通常よりも2割加算された税額を支払わなければなりません。

■適用の終了
この制度は、受贈者が30歳になると終了します。例外として、受贈者が30歳時点で学校等・教育訓練に在学していた場合は、その教育が終了した時に、制度の適用も終了します。ただし、受贈者が40歳になった場合は、いかなる場合であっても制度の適用が終了します。
制度の適用が終了した時点で、過去に一括贈与を受け、使わずに残っている残額には、贈与税が課税されます。


前回の記事から見ると、主に教育資金の定義と、贈与者死亡時の対応が改正されていますので、ご注意下さい。


posted by yagishita-tax at 12:46| 相続税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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